最近は再び変動金利の引き下げ競争が始まっていますね。キャンペーン金利も含めれば記憶の限りでは以下のような銀行が変動金利を引き下げています。
・auじぶん銀行
・住信SBIネット銀行
・新生銀行
・ジャパンネット銀行
このように各銀行が金利を引き下げている背景には、一番最後のジャパンネット銀行が積極的な金利を提示しているというのがありそうです。
今月のジャパンネット銀行の変動金利は0.399%ということで、ついに0.3%台ですね!驚異的です。
ジャパンネット銀行は昨年、住宅ローンビジネスに新規参入しましたので、ビジネスの基盤が出来上がるまでは赤字覚悟でも顧客を獲得したいというのがあるのでしょうし、ジャパンネット銀行の親会社はYahooと三井住友銀行ですから、そうした「先行投資」に耐えられるだけの体力もありますね。
また三井住友銀行からすると、ライバルである三菱UFJ銀行が子会社であるauじぶん銀行を通じて住宅ローンの獲得を進めてきたことから、いよいよ本格的に立ち向かいたいということなのかもしれません。
いずれにしても住宅ローン顧客からすれば金利競争が激化するのは歓迎すべきことですが、こうした金利競争の理由として印象的な記事を見かけました。こう書かれています。
・現時点の金利は10年固定金利よりも変動金利の方が低く、多くの専門家は、変動金利が銀行にとって赤字だと言っていますよね。銀行にとって赤字の変動金利を下げるよりも従来どおり10年固定金利を下げる方が傷は小さく済むのに、あえて変動金利を引き下げ、変動金利に利用者を集めようとしている銀行の狙いは何でしょうか?
・これは銀行側の予想として10年以内に政策金利が上がり、全ての銀行が変動金利を上げる状況になると見越していると考えれば、つじつまが合うのです。、「10年以内に利上げがあり金利を上げられるタイミングが来る」と予測しているならば、住宅ローンを貸す銀行としては『今のところ少し金利が高いけど、後で上げられない10年固定を売るよりも、今は赤字であっても、近い将来金利を上げられる変動金利を売る方がトータルで儲かる』と考えるのが合理的なのです。
・全ての銀行が横並びで金利を上げる、つまり日銀が政策金利を上げるタイミングが近づいているのなら、その前に金利を下げて利用者を変動金利に誘導するのが利益を最大化する方法ということです。これは考えてみれば当たり前のことなのですよね。
>>>変動金利が下がり始めたのは、住宅ローン金利が上昇する兆候!?
つまり、変動金利を引き下げているのは「固定金利から変動金利に誘導したいから」であり、それは「10年以内に金利が上がると考えているから」という見立てですね。いかがでしょうか?
残念ながらこの見立ては根本的に間違っています。
というのも基本的に銀行は、融資する際に貸出と同じ期間の金利を調達しています。つまり、10年固定の住宅ローンを貸し出すなら、その裏側で10年固定の金利を金融市場から調達しているのですね。30年固定の住宅ローンでも、変動金利の住宅ローンでも同様です。
言い換えれば銀行は基本的には「金利変動リスクを取っていない」ということです。従って10年以内に金利が上がろうが下がろうが、直接的には融資の採算には影響しません。
仮に10年以内に変動金利が1%から2%に上昇したとしても、その裏側で銀行から調達する金利も例えば0%から1%に上昇することになりますので、利ザヤは1%のままで変わらないということです。
本当に「10年以内に金利が上昇する」と予想しても顧客を変動金利に誘導するメリットはありません。
そもそも「変動金利が下がり始めた」と言っても上記の通り実際に変動金利を下げているのは一部のネット銀行だけですね。こうした一部分の動きだけを取り上げて、「銀行全体」の動向として論じるのは無理があります。
またもし本当に銀行が10年以内に金利が上昇すると考えているのであれば、長期金利=10年もの国債金利が「−0.05%」とマイナスにとどまっているはずがありません。そうした金利上昇を織り込むなら、長期金利はプラスとなっているはずです。
そうしたわけでやはりネット銀行などの変動金利低下は「ジャパンネット銀行の新規参入によるもの」ということでしょうね。
繰り返しになりますが、住宅ローン顧客からすれば、どんな理由であっても金利が下がるのは歓迎すべきことではありますが。
参考にしてみてください。
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