先日のコラムでは住宅ローンの借換え後の金利タイプについて、年齢別ではこのようになるとご紹介しました。
正直、思ったほどの変化はありませんでしたが、それでも年齢が上がるにつれて変動型が選考されていますね。一般的には年齢が上がれば上がるほど世帯年収は増えていきますし、他方、住宅ローン残高は減少していきます。とすると住宅ローンの金利変動リスクは相対的に小さくなるわけで、「わざわざ割高な固定金利を選ばなくても変動金利で良い」、という考え方は理解できます。
実際、専門家も「世帯年収が多い場合は変動金利を借りても良い」と指摘していますね。
世帯年収が高いと低金利の変動型を利用できて、世帯年収が低いと割高な固定型を勧められるというのは悪い冗談のような気もしますが、「金利変動リスク」という観点からは一理あると言えるかもしれません。現状、金利変動リスクがどれくらいあるのかという議論はさておき。
では実際に、「年収別」で見た場合、借り換え後の住宅ローン金利タイプはどうなるのでしょうか?いつものように住宅金融支援機構が2018年8月に発表した「民間住宅ローン借換の実態調査」から取り上げてみると、「借り換え後の金利タイプ別の世帯年収層の分布」はこうなっています。
確かに「変動型」は800万円超の層にも幅広く分布しているのに対して、「全期間固定型」は比較的年収が低い層に偏りがある気がします。
そうしたわけで「年収が高いほど借換え時に変動型が選ばれやすい」というのは間違いなさそうですが、このように「金利タイプ別」に分類されると全体の分布が見えにくくなりますので、より一般的な「年収層別」に分類するとこのようなグラフとなります。
やはり 相対的に年収が低いほど「全期間固定型」が選考される一方で、相対的に年収が高いほど「変動型」が選考されていそうですね。
ただより注目すべきは、そうした「年収による金利タイプの違い」ではなく、むしろ「年収による金利タイプの違いはそれほどない」という点なのでしょうね。
特に世帯年収が「400万円超1,500万円未満」のゾーンでは金利タイプにほとんどなく、変動型と固定期間選択型がどちらも概ね45%くらいで、残りの1割を全期間固定型が占めている状況です。
つまり専門家のアドバイスはともかくとして、実態としては住宅ローン利用顧客は年収に関わらず、みんな「借りたい金利タイプを選んでいる」「より低金利の金利タイプを選んでいる」ということで良さそうです。
特に今はイールドカーブコントロールや低いインフレ率によって、極端に金利上昇リスクが小さくなっていますからね。「今はまだ金利上昇リスクを気にしなくても大丈夫」と思うのも自然なことなのかもしれません。
そもそも繰り返しになりますが、年収が低い人ほど割高な固定金利を選べというアドバイスはなかなか理解を得にくいのではないかと思います。
借り換え時の金利タイプ選択にお悩みの方は参考にしてみてください。
>>>住宅ローン借り換え比較クチコミランキング・トップページはこちら