最近の長期金利の上昇傾向を受けてか、「住宅ローンの借り換えがラストチャンス!」と言った趣旨の主張をよく見かけるようになりました。
長期金利のグラフを見ると確かに上昇しています。
とすると「借り換えがラストチャンス」という指摘は間違っていなさそうですが実際はどうでしょうか?
結論から言うと「半分は正しいが半分は間違い」ということになりそうです。
まず何が正しいのかを考えてみると、今回の長期金利上昇の要因がカギですね。なぜ金利が上がり始めたかと言うと、7月に日銀が長期金利の上限を従来の0.1%から0.2%に引き上げたからです。
これまでも長期金利はこの上限に押さえられてきましたので、上限が引き上げられれば金利が上昇するのは当然ですね。
つまり長期金利は新たな上限である0.2%に向けて今後も上昇を続けていく可能性が高いということです。
加えてなぜ日銀が長期金利の実質的な上昇を容認したかと言えば、金融緩和が長期化する中で低迷する金融機関の経営状況に配慮したためです。いわゆる「金融緩和の副作用」に目配りしたわけですね。
ただ金融機関の経営が悪化している理由は「異次元緩和」だけではありません。少子高齢化を背景とする資金需要の低迷が構造的な問題として横たわっており、多少金利を引き上げたとしても金融機関の苦境はまだまだ続くものと思います。
言い換えれば日銀には今後も「金利引き上げ圧力」が続くということです。
とすると、長期金利の上限が静かに0.2%から0.3%へ、0.3%から0.4%へと引き上げられていく可能性は十分あります。
要するに長期金利は金融政策の軌道修正を背景として今後もジワジワ上昇していくかもしれない、ということですね。
そう考えると「今は借り換えのラストチャンス」という指摘は正しいということになります。
しかし。
それはあくまで長期金利と、それに相関する住宅ローン固定金利の話ですね。
住宅ローン変動金利に相関する短期金利については誘導目標が「−0.1%」のまま上昇することなくマイナス水準を維持しています。
つまり、日銀が金融機関に配慮しているのはあくまで10年以上の金利ということですね。
そもそもイールドカーブコントロール自体、その名が示すように「短期は低く、長期は高くという金利カーブ=イールドカーブ」を作ろうとしたものですから、日銀にとって「短期金利はそのままで、長期金利の上昇を容認する」というのは自然な選択だと言えそうです。
いずれにしても短期金利が低位安定している限り、住宅ローン変動金利もまた低位安定することになります。
つまり「変動金利への借り換え」については今は「チャンス」ではあるものの、「ラストチャンス」ではないということですね。
これが「半分は正しいが半分は間違い」という理由です。
住宅ローン固定金利への借り換えを検討されている方は急いだほうがいいですが、住宅ローン変動金利への借り換えを検討されている方は急ぐ必要はなさそうです。
参考にしてみてください。
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