先日、日経新聞が住宅ローンの金利タイプについて、変動型のシェアが過去最高の56%になったと報じていました。その後、いくつかのメディアもこれに追随し、住宅ローンの変動金利人気が再認識されているようですね。
その日経新聞が報じた変動型のシェアの推移がこちらです。
確かに変動型のシェアが過去最高となっていることが分かります。
ただ一方で、これまでも変動金利人気は色々な調査で明らかになっていますし、異次元緩和がスタートし金利が大きく低下した2013年から2015年にかけて、固定型の人気がむしろ上昇したというこれまでの推移がそもそも「不自然なもの」と言えそうです。
そうしたわけでこの住宅金融支援機構の調査結果を見てみるとこのようになっています。
要するに2016年に調査会社を変えてから明確に変動型金利のシェアが増え始めたわけで、これは「トレンドの変化」ではなく、単に「アンケート回答者の属性の違い」であることが示唆されています。
結果として、A社の調査結果が不正確か、B社の調査結果が不正確か、あるいはその両方か、ということになりますが、ではより正しい住宅ローン変動型金利のシェアの推移はどうなっているのでしょうか?
そこで、同じく住宅金融支援機構が、アンケート会社ではなく金融機関にヒアリングした調査結果である「民間住宅ローンの貸出動向調査」をチェックしてみたいと思います。こちらは回答者が金融機関ですので不正確な回答が混ざる可能性は低いです。
その住宅ローン変動型金利のシェアの推移はこうなっています。
・2006年度:14.0%
・2007年度:22.3%
・2008年度:36.7%
・2009年度:48.7%
・2010年度:59.2%
・2011年度:67.8%
・2012年度:68.4%
・2013年度:58.2%
・2014年度:54.7%
・2015年度:61.8%
・2016年度:49.9%
2016年はなぜか7年ぶりに50%を切っていますが、それまでは高水準を維持してきたことが分かります。
また、最もシェアが高かったのは2012年で何と68.4%ですね!
そうしたわけで、今になって「変動型金利が過去最高になった」ということはなさそうです。日経新聞を始めとする各メディアももう少し正確なデータに基づいて報道してほしいと思います。
ただどちらの調査結果も結論は同じで「変動型金利は2009年以降、ずっと人気」ということです。
2008年のリーマンショック以降、金融緩和が拡大されるたびに金利が低下してきましたので、そうした中で変動型金利が人気となるのも当然だと思います。金利上昇懸念がないわけですからね!
さらに今はイールドカーブコントロールによって金利水準そのものも日銀に直接コントロールされていますので、尚更突然の金利上昇は考えにくくなっています。
そうした状況を踏まえると、特に相対的に借入期間が短くなっている借り換え住宅ローンについては変動型金利を上手に利用していきたいものですね。
参考にしてみてください。
>>>住宅ローン借り換え比較クチコミランキング・トップページはこちら