なぜ住宅ローン金利がここまで低いかと言うと、日銀が積極的な金融緩和で金利を低く抑えているからですね。金利が低いと企業の負担が減り、利益が増え、最終的には景気がよくなってくることが期待されているわけです。
その日銀の金融緩和の中でも特に強力なのが現在も続いている「異次元緩和」で、これは2013年4月に黒田氏が日銀総裁になった時に発表されたものですが、その時の目標は「2年以内に物価上昇率2%を達成する」というものでした。
ではその後の物価上昇率はどうなったかと言うとこうなっています(いずれも値動きの激しい生鮮食品及びエネルギーを除く総合)。
・2013年:−0.2%
・2014年:+2.2%
・2015年:+1.4%
・2016年:+0.6%
・2017年:+0.1%
・2018年3月:+0.5%
2014年から2015年にかけては消費税増税の影響で一時的に上昇していますが、その影響が一巡した後は再び「0%ちょっと」という水準に戻っています。つまりは「2年以内に物価上昇率2%を達成する」という日銀の目標は全く達成されていないわけですね。
もちろんそれは日銀が無能だったというわけではなく、むしろ「マイナス金利政策」や「イールドカーブコントロール」など今までにない斬新かつ積極的な金融政策を打ち出し、その結果、物価上昇率がプラス水準を維持し「デフレではない」状態になったことは大きな功績なのではないかと思います。
言い換えれば「目標が高すぎた」とも言えますし、それくらい少子高齢化が進む日本でインフレ経済を実現するのは難しいということなのでしょうね。
いずれにしても「ずっと達成できない目標」を掲げ続けるのはミスリーディングですし、日銀の信頼性にも関わってきますので、どこかで方向転換をする必要があったわけですが、黒田総裁が再任され、「第二次黒田日銀」が始動するこのタイミングでいよいよこの2%目標が修正されることとなりました。
とすると選択肢としては「2年以内」を削るか、「2%」を削るか、あるいはその両方かということになりますが、結果的には今回「2年以内」という達成時期が削られることになりました。つまり今の日銀の目標は「なるべく早く物価上昇率2%を達成する」ということですね。
この変更が住宅ローンの借り換え金利にとってポジティブな変更か、ネガティブな変更かと言われればやはり後者、つまり「ネガティブな変更」ということになると思います。
何事も「締め切り」があるからこそ頑張るのであって、締め切りがない目標など目標とは言えません。2年後に2%目標を達成しようと思えば死ぬほどがんばると思いますが、「10年後でいいや」と思えばやはり気持ちも手も緩んでくるのは当然です。
そして金融緩和の手が緩んでくれば、それはこれまでと逆の動きになるわけですから「金利上昇」を意味するわけで、住宅ローンの借り換え金利にも上昇圧力となってきます。
ただ一方で。
それでも「2%」のインフレ目標が維持されたことはポジティブに考えて良さそうです。仮にこれが2%からより現実的な1%に下げられたりすると、にわかに「目標達成→金融緩和縮小→金利上昇」というシナリオが現実味を帯びてきます。
日銀関係者の中には一定割合で、次の景気後退局面に備えて金利を上げておきたいと考えている人がいると思いますので、そうした動きを抑えるためにも「2%」という高すぎるハードルは存在意義があると思います。
「2%目標」に守られ、金融緩和も住宅ローンの低金利も1日も長く続いてほしいものですね。
参考にしてみてください。
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