現日銀総裁の黒田氏の任期は今年の4月までです。誰がその後任となるのか、あるいはもう5年続投となるのか注目されたわけですが、結果的には「黒田氏続投」で落ち着きそうです。
やはり昨年秋の衆院選で自民党が圧勝し、安倍政権が延命されたことが大きいのでしょうね。
またこの結果は住宅ローン顧客にとっても歓迎すべきものと言えます。黒田日銀の「異次元緩和」、そして「マイナス金利政策」によって長期金利も住宅ローン金利も劇的に低下したからですね。過去5年の長期金利の動向をチェックするとこうなります。
足元の「イールドカーブコントロール」政策によって長期金利は多少上昇してしまったものの、代わりに「金利上限=0.1%」が実質的に設定されましたので、これも大きなメリットと言えます。金利上昇リスクがなくなったわけですからね。
こうした金融政策が続く限り、長期固定金利を選ぶ理由はあまりありません。金利上昇リスクがないのに、金利上昇リスクに対する「保険料」を払うことになります。
それはともかくとして、黒田氏続投は「住宅ローン借り換え金利の低金利維持」という観点では他の候補者と比べてベターな選択だったのは間違いありませんが、一方で「ベスト」だったかと言うと実はそうでもないかもしれません。今朝の日経新聞によるとその「黒田氏続投」の舞台裏としてこのような思惑があったようです。
・昨年10月22日の衆院選で自民党が圧勝。求心力を高めた首相の安倍晋三(63)が、経済ブレーンで金融緩和に前向きな「リフレ派」として知られる駐スイス大使の本田悦朗(63)を日銀総裁に抜てきするのでは、とにわかに意識され始めた。「本田総裁だけは絶対にダメだ」。日銀の事務方は焦った。13年4月に「2年で2%の物価上昇」と華々しく始まった異次元緩和は長期戦が不可避な情勢。バブル誘発や金融システムの不安定化の副作用もある。政策を現実路線に修正する必要があるのに、強硬な緩和路線の総裁が誕生すればシナリオが崩れてしまう。
つまり、黒田総裁よりさらに金融緩和に積極的な本田氏が日銀総裁になる可能性もあったということですね。金融緩和=金利低下ですから、もしそうなれば長期金利も住宅ローン金利も再低下していたかもしれません。
しかし何より気になるのはこのくだりですね。「異次元緩和は長期戦が不可避な情勢。バブル誘発や金融システムの不安定化の副作用もある。政策を現実路線に修正する必要がある。」と述べられています。もし日銀が本当にそう考えているのであれば、今の緩和政策は修正されていくことになります。
その「修正」が何を意味するのか具体的には触れられてはいませんが、「長期戦」のためには少なくとも以下3点は必要になってくるのではないかと思います。
・期間10年以上の長期金利の引き上げ
・国債買い入れ額の減少
・インフレ目標の引き下げ、見直し
どれも金利上昇要因となってくるわけですが、特に直接的に金利を引き上げることになるのが1つ目の「期間10年以上の長期金利の引き上げ」ですね。これは主に金融機関の経営を側面支援するものとなります。
もともと今実施されているイールドカーブコントロールの目的の1つが「期間10年以上の長期金利の引き上げ」だったわけですが、それがさらに強化されるのではないか、ということですね。
今のところ金融市場の予測としては、仮に長期金利を引き上げるとしても「+0.1%〜+0.3%」のようですので、大きな心配はいりませんが、長期固定金利での借り換えを検討されている方はご注意ください。
恐らく短期金利はマイナスが維持されると思いますので、変動金利での借り換えを検討されている方には影響は少ないと思いますが。
黒田氏続投によって現状の「異次元緩和」だけでなく、こうした「長期戦への思惑」も継続されるかもしれないということですね。
参考にしてみてください。
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