今月頭に住宅ローンの借り換えに関して気になるニュースが相次いで発表されました。簡単にまとめるとこうなります。
・みずほ銀行:強みのない地域=東北・中国・九州などから撤退。
・三菱UFJ信託銀行:自行の住宅ローンから撤退し、三菱UFJ銀行の住宅ローンを販売。
どちらも「弱い事業を縮小する」ということですから前向きな面もありそうですが、ただ住宅ローン顧客からすれば「住宅ローンの選択肢が減る」ことを意味しますのでやはりネガティブなニュースですね。
ちなみに最近は「今後、銀行がフィンテックなどを活用してリストラを進めていく」というストーリーに則った報道が多くなっている気がします。「フィンテック」は目新しく、また「リストラ」というテーマは良きにつけ悪しきにつけ耳目を集めますのでニュースとしては面白いのでしょうけれど、ちょっと演出過剰かな?という気もします。
「フィンテック」と言ってもその実態は今のところ大したことはありませんし、「リストラ」と言っても誰かをクビにするという話ではありませんからね。また銀行員の多くが営業活動に従事しているとするとその部分はAIには代替できません。
恐らく10年経っても銀行の外見も中身も今と大きく変わることはないのではないかと思います。おそらく。
それはともかく本題に戻ると、気になるのがこうした住宅ローン事業の縮小・撤退の動きが、私たちの住宅ローン借り換えにどういう影響を与えるのか?という点ですね。
局所的に見ればもちろん、借り換え先として三菱UFJ信託銀行やみずほ銀行は外しておいた方が無難ということになります。「どうしてもこれらの銀行でないといけない。」「これらの銀行が一番借り換え金利が低い。」「これらの銀行が一番審査が甘い。」といった認識があるなら別ですが、おそらくそういうことはないと思いますので、審査に通っても実際に借りられない可能性が少しでもある以上、避けた方が良いですね。
では次に住宅ローン借り換え「全体」への影響はどう考えればいいでしょうか?
そのためには今回の「住宅ローン縮小・撤退」の理由を冷静に分析する必要があります。ポイントとなるのは両行において住宅ローンビジネスは赤字なのかどうか?という点ですね。
結論から言えば赤字ということはないと思います。もし両行の住宅ローン金利が極端に低いということであったり、顧客の属性が極端に悪いという話なら別ですが、おそらくそういうことはないと思いますので、その収益性が「平均なみ」ということであればやはり黒字は確保しているのではないかと考えられます。
また、仮に赤字であったとしてもマイナス金利時代の現在、ローン以上に収益が見込める業務はなかなかありません。とすると銀行全体からすれば「ローンを諦める」という選択肢はあり得ないと思います。
実際、三菱UFJ信託銀行の場合、住宅ローンを三菱UFJ銀行に「一本化する」という話ですから、単純な撤退とは異なります。
ではみずほ銀行の場合はと言うと、おそらくエリア×ビジネス毎にみた場合、「住宅ローンビジネスの黒字をもってしてもカバーできない赤字店舗(おそらく個人向け店舗)」があって、それらを地域ごとにまとめて縮小していく、という話ではないでしょうか。
また、「住宅ローンビジネス単体では黒字」なのであれば、
・実店舗閉鎖後もネットでは引き続きOK
・総合店舗は閉鎖するけれども、小型のローン専門店舗を残す
と言った対応もあるかもしれませんね。
なお11月14日現在、みずほ銀行はこうした報道に対して何の反応も示しておらず、どこまで本当なのか現時点では分からない点は付け加えさせていただきます。
今回の撤退報道に関して、「マイナス金利によって住宅ローンの採算が悪化しているので撤退する」という解説も目にしますが、これは完全に間違いです。
確かにマイナス金利政策によって「運用難」から銀行の採算が悪化しているのは事実ですが、ただそうした「金利低下」や「運用難」は基本的には住宅ローンビジネスには追い風です。
その点では住宅ローンの借り換えを検討されている方が過度に心配する必要はありませんが、銀行業界全体で「フルラインナップ型店舗」は縮小し、「ネット店舗」「小型店舗」「専門店舗」への転換という動きが加速していくのかもしれません。
というわけで「住宅ローン借り換え全体への影響」としては「メガバンクや地銀などの<従来型の銀行>で借り換えを検討する場合は多少の注意が必要」といったことになりそうです。
参考にしてみてください。
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