前回のコラムでご案内したように、住宅金融支援機構が発表した「民間住宅ローン借換の実態調査」によれば、住宅ローンの借り換えによる金利低下幅はこのようになっています。
・金利低下幅が1%以上 : 32.5%
・金利低下幅が1%未満 : 60.5%
・金利変化なし : 2.4%
・金利はむしろ上昇 : 4.5%
この結果から平均値を探ってみるとこういうことでした。
「金利上昇」「変化なし」は除外し、「〜0.2%低下」=−0.1%、「〜0.5%低下」=−0.35%、「〜1.0%低下」=−0.75%、「〜2.0%低下」=−1.5%、「2.0%超低下」=−2.5%と置いてやると、その加重平均は「−0.92%」ということですね。
低金利が始まって久しいですが、あくまで概算ではあるものの、みなさん結構ガッツリ借り入れ金利の引き下げに成功していることが示唆されています。
仮に2,000万円×20年の借り入れの場合、0.92%金利を引き下げられると毎月の返済額はこのように減ることになります。
・2,000万円×20年×1.92%=毎月約10万円
・2,000万円×20年×1.00%=毎月約9万2千円
ざっくり月8,000円程度返済額が減るということですね!これなら借り換えの効果を実感できそうです。残り20年間ずっとこのメリットが続くわけですから尚更です。
ちなみに上記「民間住宅ローン借換の実態調査」では「金利低下幅」だけでなく、毎月の返済額がいくら減ったのかも聞いておりまして、その回答結果はこのようになっています。
確かに最も多い回答は「5,000円超〜1万円以下の減少」となっており、上記金利低下幅の概算平均値との整合性は取れています。こちらの平均値もおそらくこのレンジに収まるものと思います。
なお、借り換えによって毎月の返済額が減少した割合は63.3%とのことですが、言い換えれば残りの方々=約3分の1の方々は毎月の返済額はそのままか、むしろ返済額を増やしているわけで、これはおそらくその分「借り入れ期間を短縮化している」ということなのでしょうね。
もちろん、借り入れ期間は短ければ短いほど良いわけで、さほど無理せず短縮化できているのであれば素晴らしいことです。
ちなみに、「借り入れ期間を短縮化する」のではなく、「毎月の返済額を減らす」形で借り換えをされた方も心配はいりません。浮いたお金をプールしておいて定期的に繰り上げ返済に回せば結果的に前者の「期間短縮」と同じ経済効果が得られます。
現実にもそのように浮いたお金でせっせと繰り上げ返済を進めておられる方は少なくないのではないでしょうか?
と言うわけでそれに関連して同調査から「毎月返済額減少分の使途」に関する回答結果をチェックするとこのようになっています。
抜き出すとこうですね。
1位 : 生活費 33.8%
2位 : 貯蓄 31.6%
3位 : 教育資金 19.2%
4位 : リフォーム資金 7.9%
5位 : その他 2.4%
これらの顔ぶれに違和感を感じるわけではありませんが、しかし「住宅ローンの繰り上げ返済」が全くランクインしていない点には・・・違和感を感じますね!
普通はやっぱり「浮いた分を繰り上げ返済に回そう」ということになるのではないのですかねぇ。少なくとも回答がゼロということはないと思います。
調査手法やアンケートの設計に問題がありそうな気がしますが、仮にこの回答結果が正しく実情を表しているのだとすると、「住宅ローン返済より他の支出を優先している」ということで、あまり「褒められたものではない」という気がするのは当方だけでしょうか?
万が一金利が上昇した時にも、借り換え前より「余力」が減って対応できなくなってしまいます。
やはり住宅ローンの借り換えで借り入れ金利を引き下げられる場合でも、「毎月の返済額の削減」ではなく、「返済期間の短縮」にフォーカスするのが基本ですね。
これから住宅ローンの借り換えを検討されている方は参考にしてみてください。
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