住宅ローンの借り換えにあたり悩むことの1つがどういった金利タイプを選ぶのかということかもしれません。
基本的には借り換えの目的は「支払い利息の削減」ですし、借り換えに数十万円の手数料がかかる以上、それを上回るメリットがないと借り換える必要が全くありませんので、より低い金利を選ぶとなると「変動金利や3年・5年・10年といった期間の短い固定金利」が候補に上がってくるのではないでしょうか。
実際、ネットバンクが力を入れているのは変動金利タイプですし、メガバンクなどが10年固定金利タイプの金利を大きく引き下げているのもこうした「借り換えニーズ」の取り込みを狙っているからではないかと思います。
一方で。
ここまで金利が低下すると、多少毎月の支払が増えたとしても金利を固定してしまった方がいいというアドバイスも散見されます。その場合、選択肢となってくるのが「20年といった全期間固定金利」ですね。
では実際のところ住宅ローンを借り換えている方はどういった金利タイプを選んでいるのでしょうか?
というわけで今回は少し古いデータとなりますが住宅金融支援機構が2016年9月に発表した「民間住宅ローン借換の実態調査」を取り上げてみたいと思います。こちらは回答者が2015年11月から2016年3月までに借り換えた259名ということで回答者の少なさもやや気になりますが、それはともかく選ばれた金利タイプは借り換え前と比較するとこのようになっています。
・全期間固定型 : 16.2% → 12.9%
・固定期間選択型 : 55.4% → 53.8%
・変動型 : 28.3% → 33.3%
つまり全体的には借り換え前と借り換え後で金利タイプのシェアにほとんど変化がないのですね!その点では、みんな概ね元の金利タイプを選んでいるように見えます。
ただそれでも細かく見れば「全期間固定型がもっともシェアを落とし、固定期間選択型が少しシェアを落とし、変動型のシェアが増えている」わけで、冒頭ご案内したように「支払い利息の削減」のためにより期間の短い金利が選ばれている実態が浮かび上がってきます。
納得感のある結果ですが、念のためもう少し詳細なデータをチェックしてみると借り換え前と借り換え後の金利マトリックスはこのようになっています。
意外とこうしてみると、みんなが素直に同じ金利タイプを選んでいるわけではないことが分かります。金利タイプをまたいでいる人も結構いますね。
というわけで金利タイプ別に借換え後にどんな金利タイプを選ばれているのか具体的な比率を書き出してみるとこういうことですね。
・全期間固定金利の人
借換え後、全期間固定金利 : 46%
借換え後、固定期間選択型 : 28%
借換え後、変動金利 : 26%
・固定期間選択型の人
借換え後、全期間固定金利 : 5%
借換え後、固定期間選択型 : 74%
借換え後、変動金利 : 20%
・変動金利の人
借換え後、全期間固定金利 : 9%
借換え後、固定期間選択型 : 28%
借換え後、変動金利 : 63%
やはり「全期間固定→全期間固定」というのは少な目ですね。また、意外と比率が高かったのが「固定期間選択型→固定期間選択型」で、固定期間選択型を利用されていた方の満足度は高いということなのでしょう。
とするとこのデータに基づけば「固定期間選択型が良さそう」という印象を受けますし、それは間違いではないのでしょうけれど、ただ注目すべきはここに出てきていない数字でしょうね。
それは何かと言えば、もともとの金利タイプのシェアは概ねこういった感じかと思います。
・全期間固定金利 : 1割
・固定期間選択型 : 3割
・変動金利 : 6割
しかし上記の通りこの調査での借り換え前の金利シェアはこのようになっています。
・全期間固定金利 : 16%
・固定期間選択型 : 55%
・変動金利 : 28%
ここから借り換え比率をざっくり計算するとこのようになります。
・全期間固定金利 : 160%
・固定期間選択型 : 183%
・変動金利 : 47%
計算としては間違いないのですが、ただこれだとよく理解できませんので、便宜的に100人中20人が借り換えを行っているとすると借り換え比率はこのようになります。
・全期間固定金利 : 32%
・固定期間選択型 : 37%
・変動金利 : 9%
要するに上試算に基づけば、全期間固定金利利用者や固定期間選択型利用者の3割から4割が借り換えている一方で、変動金利利用者は1割弱ということになり、「変動金利は相対的にそもそも借り換える必要がない=すでに十分低金利」なのだとすると、「最初から変動金利を選んでおけばよかった」という教訓も浮かび上がってきます。
ただもちろん、当サイトのような借り換え比較サイトでそれを言っても仕方ないことですので、特に借り換え比率の高い全期間固定金利利用者、そして固定期間選択型利用者の方は上記データも参考にしていただき、積極的に借り換えを検討いただければと思います。
参考にしてみてください。
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