先日の借換金利動向でもご案内したように、今月=5月の住宅ローン借り換え金利は概ね低下すると予想しました。と言うのも住宅ローン金利の基準となる長期金利は明らかに低下していましたし、先に報道された三井住友銀行の5月の金利もやはり「引き下げ」だったからですね。
実際5月の住宅ローン金利をチェックしてみると、4月に10年固定金利を大きく引き上げた三菱UFJ銀行が再び引き下げに転ずるなど、そうした見通しを裏付けるものとなりました。メデタシ、メデタシと話を終わらせたいところでしたが・・・WhatzMoney社が全国763の金融機関の金利を調査したところ今月の住宅ローンの平均金利は先月と比較してこのようになったということです。
・変動金利 : 低下
・10年固定 : 上昇
・20年固定 : 低下
・30年固定 : 低下
何と平均値を取れば10年固定金利は上昇したということですね!
繰り返しになりますが、長期金利=10年国債金利はこの1ヶ月、明確に低下傾向にあり、市場環境ではこうした「住宅ローン10年固定金利の上昇」は説明がつきません。その証拠にそれ以外の金利タイプは低下しているわけですからね。
何とも不可解ですが、今月10年固定金利を引き上げた銀行と引き下げた銀行をチェックしてみるとこうなります。
・金利を引き下げた銀行
三菱UFJ銀行 : −0.350%
三井住友銀行 : −0.050%
みずほ銀行 : −0.050%
ソニー銀行 : −0.022%
・金利を引き上げた銀行
イオン銀行 : +0.100%
住信SBIネット銀行 : +0.050%
三井住友信託銀行 : +0.050%
りそな銀行 : +0.050%
確かにこうやって並べてみるとネット系などを中心に今月10年固定金利を引き上げた銀行は多く、平均すれば「上昇」になってしまうこともあるのかもしれません。
いずれにしてもなぜ今月、多くの住宅ローンの10年固定金利が上昇したのかその理由が気になるところですが、市場環境では説明できない以上、「銀行都合」ということになります。仮説を考えていくとこういうことでしょうか。
1.4月・5月の「閑散期」に一旦金利を引き上げ、夏から秋の「需要期」に備えた。
2.住宅ローンの採算は厳しく、4月の三菱UFJ銀行の10年固定金利の大幅な引き上げに追随して、5月の金利を引き上げた。
3.住宅ローンの採算は厳しく、4月中旬のイオン銀行の10年固定金利の引き上げに追随して、5月の金利を引き上げた。
いかがでしょう?
1の「需要期を前にわざと金利を引き上げる」というのはまさに三菱UFJ銀行がよく使う手法ですが、それなら三菱UFJ銀行同様、5月ではなく4月に金利を引き上げるはずであり、5月に金利を引き上げた理由としてはあまりしっくりきません。
とすると、2や3のように競合銀行やプライスリーダーである銀行の金利動向に影響を受けたと考えるのが自然なのではないでしょうか?
都銀・信託銀・地銀などの「リアル銀行」はプライスリーダーである三菱UFJ銀行の影響を受け、「ネット系銀行」は競合しているであろうイオン銀行の影響を受けたということですね。
仮にそうだとすれば、すでに三菱UFJ銀行は今月、10年固定金利の大幅な引き下げに転じておりますので、少なくとも「リアル銀行」の6月の金利は「引き下げ」で足並みがそろうのではないでしょうか。もちろん市場金利の動向にも影響されますが。
他方、「ネット系銀行」はどうなのでしょうね?イオン銀行はあまり金利を変更しないことで有名ですので、その影響で据え置きとなる可能性もありますが、ただ住信SBIネット銀行は親銀行である三井住友信託銀行が住宅ローン金利を決めますので、「リアル銀行」の金利動向を受けてこちらも「引き下げ」になる可能性は十分ありそうです。
あまり仮説に仮説を重ねても意味がありませんが、今月の「10年固定金利の波乱」の要因となったと考えられる三菱UFJ銀行がすでに金利引き下げに舵を切った以上、来月の金利引き下げはそれなりに期待してよさそうです。
ちなみに不可解な動きをしているのはあくまで「10年固定金利」のみであり、それ以外の金利タイプ=変動金利、20年固定金利、30年固定金利、フラット35などは概ね市場金利に連動しています。
その点ではこうした顧客無視の銀行都合による「金利操作」に違和感や嫌悪感を感じる方は「10年固定金利以外」を選択するというのも手ですね。
参考にしてみてください。
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