前回のコラムでもご案内したように、住宅金融支援機構が「民間住宅ローンの貸出動向調査」を発表していますね。その中で昨年度=2015年度(2016年3月期)の「借り換え住宅ローン」の貸し出し実績についてこのように発表しています。
「全体」を見ると2015年度の内訳はこのようになっています。
・増加 : 31.3%
・変わらず : 29.3%
・減少 : 39.4%
何と・・・減少の方が多いのですね!
確かに2015年度=2015年4月〜2016年3月の金利推移を振り返れば金利が上昇した時期もあり、前半はそこまで借り換えが盛り上がらなかったのも分からないではないですが、しかし後半に限れば何といっても2016年1月末に発表された「マイナス金利政策」があります。
これによって住宅ローンの借り換え需要が爆発したわけですから、やはり「借り換え需要が減少」という結論は違和感がある・・・というのは前回ご案内した通りです。
念のため同じ調査から、借り換えに関する調査結果をピックアップするとこういうデータもあります。
これは新規貸出に占める借り換え住宅ローンの割合ということですが、2012年後の30.3%から、26.6%、25.2%、そして23.4%と順調に(?)低下しているわけですね。
ではこの2012年度=2012年4月からの金利の推移がどうなっているかと言うとこうなっています。
2013年前半や、2015年前半には多少金利が上昇する局面があったものの、少なくとも2015年度末=2016年3月までは長期金利は右肩下がりで低下していることが分かります。
借り換えが減る理由は・・・ありませんね!あえて言えば2014年4月に消費税が増税になりましたので、その前の駆け込み需要で新規貸出が増え、相対的に借り換えが減った可能性はありますが、しかしそれならその後の2014年度や2015年度は反動で借り換えが増えそうなものですが、実際にはむしろ低下しています。
と言うわけでこの違和感を矛盾なく説明しようと思えば前回のコラムでもご案内したようにやはり、
・借り換え需要は大きく伸びたものの、その需要は人気の銀行に偏ったため、残りの銀行では借り換え需要が減少してしまった
ということではないかと思います。具体的にはメガバンクや、この調査には含まれていないであろうネット銀行に人気が偏った可能性があります。実際のところ金利水準としてもこれらの銀行が魅力的なのは一目瞭然であり、納得のいく解釈なのではないでしょうか。
そうした「人気銀行への偏り」が示唆される中で、各銀行の借り換えに対する姿勢はこのように変化しているようです。
全体的には8割以上の金融機関が積極的ということで完全に「買い手市場」なわけですが、トレンドで見てみると「積極的」と回答している金融機関がこれまた着実に減少しているわけですね!まだ「消極的」な金融機関が増えているわけではありませんが、それでも少しずつ潮目が変わっていると言えそうです。
借り換え顧客とすれば「消極的」よりも「自然体」、「自然体」よりも「積極的」な金融機関を選んだ方が良いのは間違いありません。
その最も分かりやすい指標は・・・やはり金利水準でしょうね。それはつまり、まさに「人気銀行を選ぶ」ということにほかなりません。
個人的には人気のある会社にさらに人気が集まる状況というのはあまり好きではありませんが、しかしこと住宅ローンにおいてはそうした信条より、経済合理性が優先されるべきですね。何しろ金額が多額ですので・・・。
そうしたわけで、今後、金融機関の借り換え住宅ローンに対する「二極化」の可能性も視野に入れ、引き続き積極的に取り組んでいる金融機関の住宅ローンを選んでいただければと思います。
参考にしてみてください。
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