年始のタイミングで住宅ローンの借り換えを考え始めている方は少なくないかもしれません。
毎年のように「今年の目標」として「貯金」を挙げる方が多いわけですが、住宅ローンを借りている方はその前に住宅ローンを返済することが大切ですね。そのためにも金利低下が期待できる住宅ローンの借り換えは有効な手段と言えます。
ただ今年の場合、少し厄介なのは足元で金利が上昇している点ですね。長期金利のグラフをチェックしてみるとこのようになっています。
確かに昨年夏に−0.3%近くまで低下した一方、足元では0.05%程度まで上昇しており、本当にこのタイミングで借り換えをしてよいものかどうか悩むのも当然ですね。
ということで今回は、もし住宅ローンの借り換えを検討されている場合、「今すぐすべき」なのか、「もう少し金利が低下するのを待つべき」なのか考えてみたいと思います。
その前にまずここ最近の住宅ローン金利の動きがどうなっているのかチェックした方がいいかもしれません。過去の金利推移を公表している三井住友銀行の住宅ローン金利の推移はこのようになっています。
「基準金利」あるいは「店頭表示金利」となりますので、20年金利が一番低いというとても不自然なグラフとなっておりますが、ただそれでも金利がどのように変動してきたのかのイメージは湧くのではないかと思います。
金利タイプによって金利の動きは随分と異なる、ということですね。そうしたわけで金利タイプ別に考えていくとこうなります。
1.変動金利への借り換えを検討の場合
上記グラフの通り、変動金利はここ数年全く変動していません。「変動金利が変動しない」というのは何だかダジャレのようですが事実ですから仕方ありません。
これは日銀が「ゼロ金利政策」によって短期金利を低く抑えているからですが、一方でさらなる金利の低下が期待できるかと言うとそれもなさそうです。と言うのもすでに変動金利タイプの住宅ローンは採算ギリギリになっていると推測されるからです。
つまり変動金利は当面、「上がることも下がることもない」と考えられるわけで、だとすると借り換えは「今すぐすべき」だと言えます。
2.10年固定金利への借り換えを検討の場合
上記グラフの通り、10年固定金利はここ数年でジワジワ低下し、現在は過去最低水準にあります。
確かに昨年夏の最低金利から比較すれば0.05%程度上昇していますが、正直それくらいなら誤差の範囲内です。
こちらは今後さらに下がる可能性はゼロではないものの、同じように今後上昇する可能性もあります。
一方、日銀の新たな金融緩和の枠組みの元で長期金利は「0%近辺」にコントロールされている点を踏まえれば「大きく上がることも大きく下がることもない」という見方もできるかもしれません。
要するにこちらも「金利低下を待つメリットはあまりなさそう」ということですね。であるならやはり借り換えは「今すぐすべき」と言えそうです。
3.20年固定など、長期固定金利への借り換えを検討の場合
上記2金利タイプと比べて判断に迷うのが20年固定金利やフラット20、35などの長期固定金利への借り換えを検討の場合ですね。確かに昨年の過去最低金利から比較すると0.3%程度上昇しており、無視できない差と言えそうです。
とは言いつつ待っていれば金利が必ず下がる保証もありません。そうしたわけで以下のような4パターンを考えてみます(いずれも現在の借り入れ条件を2,000万円×20年×2.5%とします)。
パターンA:今すぐ2.5%から1.5%に借り換えた場合
パターンB:1年待って2.5%から1.2%に借り換えた場合
パターンC:1年待って2.5%から1.5%に借り換えた場合
パターンD:1年待って2.5%から1.8%に借り換えた場合
パターンBが金利引き下げに成功した場合、パターンCが金利が変わらなかった場合、パターンDがむしろ金利が上がってしまった場合、ということですね。
借り換え費用は一律同じなので割愛して、単純に20年分の支払い利息の変化を計算するとこうなります。
パターンA:今すぐ2.5%から1.5%に借り換えた場合 → 318万円
パターンB:1年待って2.5%から1.2%に借り換えた場合 → 291万円(マイナス27万円)
パターンC:1年待って2.5%から1.5%に借り換えた場合 → 348万円(プラス30万円)
パターンD:1年待って2.5%から1.8%に借り換えた場合 → 407万円(プラス89万円)
つまりうまく行けば支払い利息が27万円ほど下げられる一方で、うまく行かなければ支払い利息は30万円や89万円増加するリスクがあるわけで・・・あまり「良い取引」とは言えなさそうですね・・・。
実際、この金利が「下がる」「変わらない」「上がる」可能性がそれぞれ同じとすれば、平均的に支払い利息は「31万円増える」計算となり、確率論から言っても「負ける戦略」ということになります。
もちろん、「今後確実に金利が下がる」という強い確信をお持ちの場合はその考えに従えばよいと思いますが、そうでない場合は・・・やはり「今すぐ借り換えた方が得する可能性が高い」と言えそうですね。
そうしたわけで色々とこねくりまわしてみましたが、結論から言えば「住宅ローンの借り換えは金利低下を待つべきではなく、今すぐやるべきもの」と言えそうです。
そもそも、住宅ローンの借り換えにはそれなりの決断と覚悟とやる気が必要なわけで、その点でも「思い立ったが吉日」ですね。
ぜひ住宅ローン金利が低い間に、しっかり金利低下メリットを手にしていただければと思います。
参考にしてみてください。
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