住宅ローンの金利は当然、世の中の金利、特に金融市場の金利に連動しているわけですが、最近、長期金利のグラフを見た方は少し驚かれたかもしれません。と言うのも足元で「急上昇」しているからですね。
7月には−0.3%近辺まで下落していた長期金利が、8月に入り−0.1%前後まで上昇していることが分かります。金利水準としては依然マイナスですが、それでも「+0.2%」程度上昇しているわけですから「急上昇」しているのは間違いありません。
ではなぜこのように金利が上昇しているかと言えばその理由は簡単で、7月末に実施された日銀の金融政策決定会合で「追加金融緩和」が発表されたものの、その内容が事前の金融市場の期待を大きく下回るものだったからですね。
これまでの異次元緩和の効果を見れば明確にわかるように、緩和が拡大されれば金利は下がります。とすると、期待が大きくなれば金利が下がり、失望すれば金利が上がるのも当然と言えます。
また、今後の金利動向に不透明さを与えているものとして来月=9月の日銀会合で、「これまでの総括」が行われると発表された点が挙げられます。
もちろん日銀がインフレ目標達成の旗印を下すはずもなく、その目的はあくまで前向きなもののはずですが、金融市場が考えるのはまずはリスク面であり、その総括がどのようなものとなるのか様々な憶測が飛び交っています。そしてその中身は大体が「後ろ向きなもの」ですね。
つまり、インフレ目標を柔軟化させたり、国債の買い入れ枠を柔軟化させるといった形で日銀がデフレ退治に対して「半歩後退」する結果となることが懸念されているわけです。
常識的にも、そして黒田総裁や副総裁氏が明確に述べているように、総括によってそのように「弱気」が表明されることはないとは思いますが、金融市場の疑心暗鬼は根深いですね。逆に言えば思いっきり強気な対策が出てくればサプライズで相場が大きく反応する可能性はあり、それはつまり金利が大きく下落することを意味します。果たしてその結果はどうなるでしょうか。
ただ住宅ローン顧客としてはそのように再び金利が低下する可能性も気になるところですが、一方で住宅ローン金利が当面どこまで上昇するのか、という点も気になるところです。
それを占う上ではまずは長期金利がどこまで上昇するのかを考える必要があります。足元では−0.1%前後まで上昇しているわけですが、0%まで上昇するでしょうか?0.1%はどうでしょう?0.2%は?
結論から言えば当面の上昇目途は「−0.1%」ですね。つまり今の金利水準から極端に上昇する可能性は低いということです。と言うのも、日銀のマイナス金利の設定水準がこの「−0.1%」だからですね。要するに今後新しく増えた銀行の(日銀に預ける)資金には「−0.1%」のペナルティがかかるわけで、国債の金利が−0.1%より高いのであれば、日銀に預けるよりはそのマイナス金利の国債を買った方がマシということになります。
つまり国債の金利が−0.1%以上であれば、「民間銀行の運用ニーズ」という実需が生まれますのでそこからは金利が上がりにくくなります。これが当面の国債金利=長期金利の上昇目途が−0.1%である理由ですね。
では長期金利が−0.1%前後だとすると住宅ローン金利がどういった水準になるかと言えばちょうど今年の6月の金利水準くらいですかね?
つまりこのような金利水準だということです。
・10年固定金利(実質金利) : 0.7%〜
・20年固定金利(実質金利) : 1.1%〜
今月の実質金利が10年固定で「0.55%〜」、20年固定で「0.85%〜」といった水準ですから、「0.2%程度上昇する可能性がある」ということになりそうです。
長期金利が足元で−0.3%から−0.1%まで0.2%程度上昇しているわけですから、住宅ローン金利も同じくらい上昇する、という見通しは一定の説得力がありそうですね。
今後の住宅ローン金利上昇が気になる方は参考にしてみてください。
他方で「変動金利」については6月以降あまり変化しておりませんので、仮に長期金利や住宅ローン金利がそのころの水準まで後退するとしても影響は軽微だと考えられます。
仮に「固定金利上昇、変動金利据え置き」と言った流れが明確になるのであれば、再び変動金利タイプの人気が高まることになりそうですね。
そうした金利タイプの動向の違いにも注目していただければと思います。
参考にしてみてください。
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