借り換え需要の高まりを背景に、各銀行の住宅ローンに対する積極的な獲得姿勢が目に付きます。実際、この2、3月は申込件数が数倍になったという報道が相次いでおりますので、そうした姿勢が功を奏した面はあるのでしょう。
他方、住宅ローンビジネスは基本的には労働集約産業だと思いますので、申込件数が増えれば増えるほど人手が必要となってきます。おそらくどの銀行もさばききれないほどの申し込み「在庫」を抱えているのではないでしょうか?
4月の住宅ローン借り換え金利は10年ものを中心に、優遇金利終了に伴う実質的な利上げとなったわけですが、もしかするとそうした逼迫具合が本当の理由なのかもしれませんね。
とは言いつつ、中長期的には引き続きこうした借り換え需要がビジネスチャンスとなるのは間違いなく、住宅ローン借り換え金利も爆発的な申込みが落ち着いてくれば、再び引き下げられてくるのではないかと思います。
さてそうした「ビジネスチャンス」は金融機関に限らないようで、住宅ローン関連サービスを提供しているMFS社が、専門家による借り換えコンサルサービス「モーゲージ・ネクスト」が受けられるリアル店舗の事業に乗り出すことを発表したようです。
保険の乗合店舗である「保険の窓口」のようなイメージでしょうか?だとするとBtoCビジネスに見せかけて実際には紹介先金融機関から手数料を得るBtoBビジネスが想像されます。
もちろんそうしたBtoBスタイル、つまり広告料・販売手数料スタイルの経営が100%悪いということではありません。最大のメリットは何と言っても利用者のコストが直接的には無料である、ということですね。日本ではなかなか相談料・コンサル料と言った目に見えないものにお金を払う習慣がありませんので、利用料が無料であると言うのは大きな魅力です。
ただ残念ながら、直接的にはコストが無料であっても、そうした顧客からの収益でそうした店舗の運営費が賄われているわけですから、「間接的には有料である」と言えます。
さらに最大のデメリットは、公平・中立なアドバイスを期待できないということですね。実質的にはBtoBビジネスであるなら、販売員にとっての「お客様」は目の前に座っている相談者ではなく、手数料を払ってくれる「スポンサー」ということになります。
どんな販売員であれ、基本的には多かれ少なかれ「自分と会社が儲かる商品を売ろうとする」のは間違いありませんので、そうした販売姿勢を一方的に断罪する気はありませんが、より悪質なのは「あくまで公平・中立なアドバイスをしている」と説明しながら、自分にとって、自社にとって有利な商品を売ろうとすることです。実際にそうした販売が横行しているからこそ、そうした乗合店舗に対する規制が厳しくなっているのだと思いますが。
ではこの借り換えコンサルサービスである「モーゲージ・ネクスト」はBtoCかBtoBかどちらかと言うと・・・どうやらBtoCビジネスのようですね!つまり利用者から相談料をもらうことで公平・中立なアドバイスを提供する仕組み、ということになります。
そうしたわけでビジネスモデル自体は大変健全なように見えますが、問題は上記の通り日本ではあまり相談料・コンサル料といった目に見えないものにお金を払う習慣がない点です。
では同社ホームページをチェックしてその手数料を調べてみるとこのように説明されています。
・コンサルティグ時に目標とする借り換えメリット額を設定します。その後、ローン審査を通過し、目標メリット額が実現できる場合のみコンサルティングフィーを頂きます。
これまた「成功した場合にのみ手数料をいただく」、いわゆる「成功報酬」スタイルとなっておりますので良心的と言えます・・・しかし。
どこにもその手数料水準が記載されていないのですね!
肌感覚としては5,000円なら安いが5万円なら高い、といった感じでしょうか?
ではその具体的な手数料水準を調べてみると、同社に取材した別のインタビュー記事に記載がありました。結論はと言うと・・・一律20万円ということですね!率直に言って高いです。
稼働率がどれくらいかはわかりませんが、コンサルタント1人あたり月に40人くらいはいけるとして(1営業日あたり2人)、コンサルタントの人件費を月80万円、間接経費をそれと同額の月80万円とすれば160万円を40人で分けるわけですから1人あたり4万円でペイすることになります。
それでも決して安くはないですが、20万円という報酬よりははるかに現実的なのは間違いありません。
もしこの20万円を正当化できるとすれば、同社の借り換えアドバイスによって「自分で借り替えを進める場合より20万円以上お得になる場合」ということですが、はたしてそうしたケースはどれくらいあるのでしょうね?と言うのも金利が相対的に「かなり」魅力的な住宅ローンというのは数が限られており、そうした情報は当サイトを含め各種専門サイトをチェックすればすぐに収集できるからです。
このまま金額以上の価値を提供し続けBtoCモデルを維持できればすばらしいですが、早晩、BtoBモデルに転換するのでは?と思ってしまうのは当方だけでしょうか。
機会があればこの「モーゲージ・ネクスト」のその後についてチェックしてみたいと思います。
参考にしてみてください。
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