1回目は「借り換えでメリットの出る条件」です。
住宅ローンの借り換えの目安としては、「10年、1,000万円、1%」といわれています。これは
・住宅ローンの残りの期間が10年以上あり
・住宅ローンの残りの金額が1,000万円以上あり
・現在の住宅ローンの金利差が1%以上ある
場合は、借り換えのメリットがある、つまり住宅ローンの総支払い利息が減ることを意味しています。
0.1%でも金利が下がるのであれば借り換えメリットがありそうですが、なぜこんな条件が出てくるのでしょうか?
計算してみると、残り期間10年、住宅ローン残高1,000万円、金利1%の場合の支払い利息は約52万円となります。つまり上記条件で、金利が1%下がればこの約52万円の利息が減るということですね。
「別に52万円と言わず、30万円でも減ればうれしいのですけれど・・・」というのが普通の感覚なのではないでしょうか?
なぜ52万円くらい利息が減らないと「メリットがない」と言われてしまうかと言うと・・・借り換えには費用がかかるからですね。主な費用は以下の通りです。
・保証料 :借り入れ金額の2%程度
・保証事務手数料:3万円程度
・司法書士手数料:5万円程度
・抵当権設定費用:借り入れ金額の0.4%
・印紙代 :2万円程度
ちょっと簡略化していますが、概ねこんな感じとなります。
で、借り換え金額が1,000万円とすると
・保証料 :20万円
・保証事務手数料: 3万円
・司法書士手数料: 5万円
・抵当権設定費用: 4万円
・印紙代 : 2万円
ということで、合計は34万円になりますね。したがって、支払い利息の削減額が34万円を超えないと費用倒れになり、「借り換えメリットがない」ということになります。さきほどの利息削減額の52万円からすれば、34万円というのはそれより少ない金額ではありますが、とはいえ借り換えメリットは大幅に減りますし、何日もかけて借り換え手続きをすることを考えれば、気が進まなくなって当然ですね。借り換えがもっと簡便にできるのであればいいのですけれどね。
したがって「10年、1,000万円、1%」が借り換えの「損益分岐点」であるというのは、大きな間違いはないと思います。
ですが。
ここで1つ落とし穴があります。借り換えの際に最もかかる費用は保証料ですが、この保証料は、実は元の銀行から残りの期間分は返してくれるのですね。さすがに新しい保証料20万円全額をまかなうことはできないと思いますが、仮に10万円でも返してもらえれば、費用は34万円から10万円を引いて24万円に減ります。
したがって借り換えコストは
・借り換え費用−元の銀行から返してもらえる保証料
と覚えておきましょう。
さらに!
最近では保証料を取らない銀行も増えてきましたね。新生銀行などの例で言うと借り換え費用はこういうことになります。
・保証料 : 0万円
・保証事務手数料: 0万円
・事務手数料 : 5万円
・司法書士手数料: 5万円
・抵当権設定費用: 4万円
・印紙代 : 2万円
この場合、借り換え費用は16万円ですみますね。さらにさきほどの例のように元の銀行から保証料を10万円も返してもらえれば借り換えコストは6万円で済みますね!
借り換えメリットを計算すると
・借り換えメリット:利息削減額52万円−借り換えコスト6万円=46万円
となり借り換えメリットは大幅に増えます。
借り換えのメリットを計算するコツとしては、表面的な借り換え費用だけでなく
1.元の銀行から返してもらえる保証料
2.借り換え先の銀行の保証料の有無
も含めた、実質的なコストを計算してみてください。銀行によってはシミュレーションをHP上で提供している場合もありますし、店頭に行けば、担当者の方が試算してくれます。
意外に借り換えメリットがありそう!ということも多いと思います。
いくらくらい借り換えメリットがあるのであれば、面倒な借り換え手続きをしようと思うかは人によって異なると思いますが、筆者なら30万円以上減るのであればやろうと思いますかね。0.5%でも金利が下がれば、毎月5千円くらいは住宅ローンの返済額が軽減されます。
その分、お小遣いが増えるかどうかはわかりませんが(笑)、ぜひ無駄なコストは家計から減らしたいものですね。
まずは目ぼしい銀行に、借り換えメリットを試算してもらいましょう!
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