住宅ローンの借り換えに関して良く聞くのが
・安易に変動金利を選んではいけない。
・金利が上昇して固定化しようと思っても先に固定金利が上昇しているので固定できない。
と言ったアドバイスです。どちらも間違いではありませんが、一方で「本当にそうなのかな?」とも思います。
まず最初に押さえておかないといけない点は、住宅ローンの固定金利と変動金利とでは基準となる金利が異なる、という点ですね。このようになっています。
・住宅ローン固定金利 → 基準となるのは主に長期金利
・住宅ローン変動金利 → 基準となるのは主に短期金利
現状ではイールドカーブコントロールによってどちらも日銀に完全に管理されている状態ではありますが、基本的には長期金利は期間が長いこともあって市場の思惑によって金利が上下しやすい性質を持っています。
とすると金利上昇局面が近づけば先に長期金利が上昇し、その後で短期金利が上昇するわけで、上記の「金利が上昇して固定化しようと思っても先に固定金利が上昇しているので固定できない」という指摘は正しいと言えます。
ただ一方で疑問は2つですね。1つ目は「金利が上昇し続けることはあり得ない」という点です。確かに景気が上向けば通常は金利が上昇しますが、逆に景気が下向けば金利は下落します。つまり循環的に金利が上下し続ける限り、「一時的な金利上昇はそれほど怖いものではない」と言えます。
言い換えれば「金利が上昇したからと言って必ずしも金利を固定化する必要はない」ということです。変動金利のままにしておいて、市場金利がまた下がってくるのをじっと待つという手もあります。
2つ目は「日銀が短期金利の引き上げを望むことはあるのか?」という点です。短期金利は長期金利と異なり、期間が短いこともあって日銀の影響力が極めて強いです。つまり、短期金利が上昇するのも下落するのも日銀次第ということですね。
日銀が目指すのは物価の上昇と景気の底支えですが、どちらの目的にとっても短期金利の上昇は悪影響を与えます。金利が上昇すれば企業収益にはマイナスですが、加えて住宅ローン顧客の半分以上が変動金利を利用している今、短期金利の引き上げはそうした家計を直撃することになります。果たしてそんな決断をするのでしょうか?
確かに異次元緩和が長期化する中で、副作用に対する目配りを始めた日銀が金利の引き上げを画策しているのは間違いないと思いますが、それはあくまでボリュームの大きい長期金利や、それより期間の長い超長期金利ですね。短期金利については引き続き誘導水準が−0.1%に維持され、無風状態です。
そうした点を考えると、「変動金利の金利上昇リスクって果たして本当にあるのか?」と思ってしまいます。
もちろん未来のことは誰にも分かりませんが、 「変動金利を選んで損をした!」となる可能性は、これまでの金利動向を俯瞰する限りかなり低そうです。
参考になれば幸いです。
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