これまでの住宅ローンの金利動向を振り返ったり、実際の金利表を見れば、最も金利の低い変動金利を選びたくなるのは当然ですね。
住宅金融支援機構が実施したアンケート調査をチェックしてみても、変動金利の人気が高まっていることがよく分かります。
この傾向は当然、借り換えの場合でも同じだと思います。
しかし変動金利を選ぶ際に気になるのが金利上昇リスクです。この金利上昇リスクに対してどのように対応していけばいいのでしょうか?
まず言えることは以前のコラムでもお伝えしましたが、金利上昇リスクを過度に恐れる必要はないということです。政策金利は過去このように推移しています。
バブル崩壊後、日本経済は少子高齢化が進み、低成長=低金利の時代になったということですね。これは景気循環ではなく構造変化ですから、再び人口が増え、高成長=高金利の時代になる可能性は限りなくゼロに近いものと思います。
しかしながら可能性がゼロではない以上、借り換えで変動金利を選んだ場合、金利上昇リスクへの対応が求められます。具体的にどうすればいいのでしょうか?
まず1つ目は、金利が低い間に1円でも多く元本を減らしておくということです。借り換えの際になるべく元本を圧縮することに加え、繰り上げ返済などを活用してコツコツと返済を進めていくことが重要です。
特に借り換えで金利が下がれば毎月の返済額に余裕ができると思われますので、その余裕をきちんと元本返済に回す姿勢が大切ですね。
2つ目は、金利上昇の動きを早めに察知することです。
「将来の金利を誰も正確に予測できない」と言うのは間違いではありませんが、今は日銀がイールドカーブコントロールによって市場金利を直接コントロールしていますので、日銀のアナウンスをチェックしておけば、今後の金利動向が分かります。
特に住宅ローンの変動金利は政策金利に完全にリンクしていますので、仮に上昇する場合は事前に日銀から丁寧なコミュニケーションがあるものと思います。
実際、金融政策決定会合後に発表される声明やフォワードガイダンスによって、少なくとも2020年秋ごろまでの低金利継続が予測されています。こうした日銀の発表を見ていけば、ある日いきなり金利が上昇していたということはなさそうですね。
3つ目は、仮に金利が上昇しそうだとして、それが構造変化によるものなのか、それとも単に循環的な動きなのかを見極めることです。
もし前者であれば上記の通り、人口が再び増加し始めたり、経済成長率が大きく上昇しているでしょうから判断は簡単ですね。
それ以外には国債の信用が大きく下がることによって起こる「国債暴落=悪い金利上昇」というシナリオがないではないですが、ただ恐らくそうした場合でも売りに出された国債を日銀が買い占めれば価格は維持されますので可能性は低いかなと思います。
加えて繰り返しになりますが住宅ローンの変動金利は国債ではなく政策金利にリンクしていますので、万が一国債が暴落しても影響を受けることはなさそうです。
これらのことが理由でないのであれば、金利上昇はあくまで循環的な動きによる一時的なものでしょうから、放っておけば再び低下することになります。とすると慌てて金利を固定化する必要はなく傍観していれば良さそうです。
4つ目は、仮に金利が上昇しそうだとして、不動産価格はどうなっているのかチェックしてみることです。
金利が上昇するときというのはお金の価値が下がっているときですから、普通はモノの価値は上がっているはずであり、マイホームの価格も上昇しているはずです。仮に金利が4%になったとしても不動産価格がそれ以上に上昇していれば「むしろ利益が出ている」わけですから、慌てる必要はありませんし、場合によっては積極的にマイホーム売却のタイミングを探るのも手ですね。
言い換えれば不動産価格は上昇していないのに金利だけが上昇しそうな時で、かつその金利上昇が循環的なものではなく構造変化に伴うものである場合にはいよいよ「金利の固定化」が選択肢となってくるわけですが、その可能性は極めて低いことに加え、実際の金利上昇までにそれなりの猶予期間があるでしょうから、じっくり検討すれば良いのではないかと思います。
参考になれば幸いです。
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